ワークフローシステムからの入替による経費精算DX事例
紙とデジタル、電子保存における二重運用のジレンマから脱却
―法対応により見込まれた2,400時間の業務増解消と月8,000枚の帳票削減を実現

河合楽器製作所は、1927年の創立以来、世界的なピアノ製造・販売を中核に、音楽教室や体育教室の運営、金属・木工加工品の製造など多角的な事業を国内外に展開しています。経費精算業務においては、グループウェアのワークフロー機能で法改正に暫定対応した際に増加した業務負荷の削減やペーパーレス化を目指し、「楽楽精算」を導入しました。月間最大8,000枚の帳票類の削減と法対応により増えた申請、確認、管理といった工数削減について、経理部門の鈴木様、城間様、情報システム部門の大畑様にお話を伺いました。
| 会社名 | 株式会社河合楽器製作所 |
|---|---|
| 事業内容 | 楽器の製造、仕入並びに販売、音楽教室・体育教室の運営、金属加工品・木工加工品の製造、仕入並びに販売 |
| 従業員数 | 連結 2,917名/単体 1,316名 (2026年3月31日現在) |
| 導入時期 | 2023年11月 |
| URL | https://www.kawai.co.jp/ |
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課題
- 電子帳簿保存法への対応に伴い、紙とワークフローでの申請における二重運用が発生し、申請者・経理ともに業務を圧迫していた。
- 全社的なペーパーレス化が求められている中、従来の紙での帳票管理にかかる紙、印刷代といった間接コストが問題視されていた。
- 拠点や事業部ごとに異なる運用、帳票類の郵送による処理遅延、申請の修正や差戻しなどが発生していた。
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決め手
- 大手企業での利用実績があり、システムの信頼性と安定性が担保されている。
- 申請者にとって操作画面が分かりやすく、外出先からも申請・精算・承認を行えるといった全社的な浸透のしやすさ。
- 経理部門内で臨機応変に、ノーコードでシステムメンテナンスや設定変更を完結できる。
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効果
- 法改正に伴って発生していた二重運用の解消により、申請者・経理の大幅な業務削減につながった。
- 紙の領収書や請求書を月間最大8,000枚削減し、ペーパーレス化を推し進めた。
- 本社から段階的に全国の営業所、教室などへ運用を展開し、1,700名規模の全社的な運用へ移行した。
突貫作業的な法対応による業務超過とシステム導入の転換点
導入以前は、経費精算業務や法対応においてどのような課題が生じていたのでしょうか?
経費精算システムの検討を始めたきっかけは、電子帳簿保存法への対応後に増えた確認、管理工数が起点でした。当時は、既存のグループウェアのワークフロー機能で突貫作業的に法対応をしていました。それによって、電子取引においては、通常の紙での申請・承認に加え、電子保存のためにワークフロー上でも申請する必要があり、二重の申請や確認作業が申請者にとっても経理担当者にとっても非効率な運用になっていました。経理部門では紙で送られてきた帳票で承認や経理処理を行いつつ、電子取引による申請が正しくワークフローでも行われているか、申請内容が紙で処理したものと相違ないかの突合作業によって、重複する確認や承認業務が発生し、申請や管理の煩雑さに限界を感じていました。

また法対応以前より、情報システム部門では、全社的なペーパーレス化を進めている中で、紙の帳票類が多く発生していた経費精算、請求書処理への課題感を持っていました。この紙ベースの運用に起因して、全国の拠点や部門ごとに申請形式や運用のルールにバラつきが生じており、郵送による締め日への業務集中や処理の遅れといった問題も抱えていたため、改めて法対応を機に業務の見直しも検討しながら、プロジェクトを進めました。
経理部門と情報システム部門で進めた、現場起点での提案
「楽楽精算」の導入はどのように推進されたのでしょうか?
実は、情報システム部門でペーパーレス化を進めている中で、経費精算システムの導入を提案した経験がありました。しかし当時は社内で合意が得られず、法改正への対応を機に経理部門と情報システム部門の課題が改めて合致したことで、システム導入に向けて再び動きだしました。
一度社内で合意に至らなかった経験から、今回の上申時ではより詳細な削減効果のシミュレーションを作成しました。シミュレーションの内容は、法改正によって増えた業務時間がシステム導入によりどれだけ削減が見込めるか、紙・インク代・人件費などのコスト削減がどれだけ見込めるか、など現状との影響額を2部門でまとめたものです。当時法対応によって、年間約2,400時間もの追加工数が経費精算、請求書処理に必要となることが試算からわかりました。結果として、システムにかかる費用を差し引いても年間で1,000万円以上のコスト削減効果があると判断し、それをもって社内の承認を得ることができました。
現場起点でプロジェクトを推進していくにあたって、自身の通常業務がある中で、社内での合意形成やプロジェクトチームの立ち上げといったステップを経る必要があり、その点が非常に難しいチャレンジだったと記憶しています。
検討時には「楽楽精算」を含む3つのシステムを候補に挙げていました。その中で、「楽楽精算」は大手企業でも多数の利用実績がある信頼性と、申請者やシステム管理者の操作、運用が容易である点、設定代行による確実な運用定着が見込める点、総合的なコストメリットから導入を決めました。導入後、実際に細かい設定やレイアウト変更が生じた場合、システム構築などの専門知識がなくても、ノーコードでスピード感のある対応ができており、保守運用面での優位性が高いと感じています。
本社近郊での限定的な運用から全国の拠点へ、段階的な浸透プロセス
「楽楽精算」を社内へ定着させるために行った、工夫やアプローチについて教えてください。
当社は事業内容も多様で、本社の他に、工場、全国に営業拠点といったさまざまな拠点があることから、社内の定着には慎重に取り組む必要があると考えていました。元々、各拠点で申請形式や運用面が統一しきれていなかったこともあり、全社一斉に運用をスタートさせても現場の混乱が目に見えていました。
そこで、まずはPCでのシステム操作に慣れている本社近郊から運用を開始し、2ヶ月ほど様子を見て手戻りや運用の不具合がないか確かめ、整備した後に、全国の営業拠点へと利用を拡大していきました。遠く離れた拠点の従業員にも周知するため、本社から経費精算システムの導入について、通達文書として全国へ発信し、その上でマニュアルの整備や説明会を徹底し、実際の使い方を定着させていきました。その結果、当初数百名から始めた運用も、現在までに約1,700名の従業員に利用を拡大しています。

また、段階的な運用開始タイミングに加え、操作の面でも対象とする申請を絞り、判断が容易にできる交通費と立替経費からスタートしました。まずは申請時の入口を極力シンプルに選択しやすくし、駐車場代の精算などスマホでレシートを撮影して送るだけで完結するものから始めていきました。申請者が「楽楽精算」の操作に少しずつ慣れてきた段階で出張精算、そして最後に取引先が関わる請求書払いへと順次、適用範囲を広げていきました。運用開始当初は慣れない申請への質問もありましたが、経理側で発信の強化や「楽楽精算」内の申請ルールを設定することで、問い合わせ件数も現在では月20件程度にすることができています。
月間最大8,000枚の紙運用を削減し、拠点ごとの運用の差を統一
導入によって、どのような効果を得られたのか教えてください。
定量的な効果として、月に最大8,000枚もの紙の領収書や請求書の処理を削減し、当初の目的であったペーパーレス化を大幅に進展させることができました。同時に、法対応後、日々の業務を圧迫していたワークフローと紙の二重の確認、管理作業が不要となり、経理担当者の業務負荷を大幅に改善できました。また副次的な効果ですが、締め日を待たずに申請があがってくるようになり、月末月初の繁忙が緩和されるほか、全国の拠点に「楽楽精算」を定着させていく中で、拠点ごとの運用のバラつきが統一され、経理業務の迅速化と内部統制の担保にもつながっています。
今後、長期的な目線では、変動レートの個別換算や国別条件設定による海外出張精算の改善や、各拠点の現預金にかかる精算対応の効率化など、より難易度の高い課題がありますが、これまでの導入や運用で得た経験を元に、本質的な業務改善に引き続き取り組んでいきたいです。
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