タイムスタンプとは?仕組みや電子帳簿保存法改正も解説
タイムスタンプとは、ある時刻に対象の電子データが存在していたことや、以降改ざんされていないことを証明する技術です。2022年の電子帳簿保存法改正に伴い、タイムスタンプの付与に代わる代替措置も認められるようになりました。
本記事では、タイムスタンプとは何かを説明したうえで、電子帳簿保存法との関係についても解説します。
この記事の目次
タイムスタンプとは
タイムスタンプとは、ある時刻において電子データが存在していたことや、以降改ざんされていないことを証明するための技術のことです。タイムスタンプは、電子文書に対するいわば時刻証明書のような役割を果たします。
なお、総務省からタイムスタンプについての業務(時刻認証業務)の認定を受けるためには、「デジタル署名方式を用いる」「当該時刻源の時間差が1秒以内になるよう、時刻の品質を管理・証明する措置を講じる」などいくつかの要件を満たさなければなりません。
参考:総務省「タイムスタンプについて」
タイムスタンプの仕組み
タイムスタンプは、生成の要求を受けた第三者機関がハッシュ値と時刻表示を結合させて発行することによって成り立っている技術です。その後、利用者が第三者機関から鍵を受け取り、タイムスタンプとハッシュ値を照合して情報が合致すれば「改ざんされていない」、不一致であれば「変更もしくは改ざんされている」と判断できます。
ハッシュ値とは、アルゴリズムを使って生成したデータのことです。基本的に、ハッシュ値から元のデータを再現することはできません。
電子帳簿保存法とタイムスタンプの関係
電子帳簿保存法とは、1998年7月(平成10年)に制定された法律です。法律の制定に伴い、請求書・領収書・会計書類などをパソコンで処理できるようになりました。
電子帳簿保存法では、真実性と可視性の要件を満たさなければなりません。ここから、電子帳簿保存法におけるタイムスタンプの役割や、タイムスタンプが必要とされるケースなどについて解説します。
電子帳簿保存法におけるタイムスタンプの役割と必要性
電子データが「いつ」存在したのか証明することや、対象となる時間以降に「改ざんされていない旨」を証明することが、タイムスタンプの主な役割です。付与することにより、「真実性」の要件を満たしたうえで、電子帳簿保存法に則った正しい文書保存ができるでしょう。
また、電子データを確認しただけでは、情報がどれくらい経過したのか判断することが困難です。タイムスタンプは、対象のデータが新しい情報か古い情報かを明確にするためにも有効な手段とされています。イメージしにくい場合は、郵送物の消印を思い浮かべるとよいでしょう。
なお、電子署名も電子文書に対する改ざんの有無を示すための手段です。タイムスタンプは「いつ」「何を」、電子署名は「誰が」「何を」を証明します。
関連記事:タイムスタンプの役割は?基本的な仕組みや電子帳簿保存法での利用法
電子帳簿保存法でタイムスタンプが必要なケース
電子帳簿保存法における3つの区分のうち、タイムスタンプの付与が必要とされる可能性があるのは、以下のケースです。
- 紙で受信・作成した書類を画像データで保存する(スキャナ保存)
- 電子的に授受した取引情報をデータで保存する(電子取引)
電子的に作成した帳簿や書類をデータのまま保存する(電子帳簿等保存)では、タイムスタンプが必要ありません。また、スキャナ保存や電子取引でも、導入しているシステムによってはタイムスタンプの付与が不要です。詳しくは、「2022年の電子帳簿保存法改正のポイント」で解説します。
2020年の法改正によるタイムスタンプへの影響
2020年の電子帳簿保存法の改正によって、真実性の確保の解釈が拡大されました。
それまでは発行者のタイムスタンプが付与されていても、受領者もタイムスタンプの付与が必要でした。つまり、タイムスタンプが付与された請求書などを受け取った場合も、受け手側でタイムスタンプを3営業日以内に付与する必要がありました。
しかし、改正後は発行者のタイムスタンプがあれば、受領者側での付与は不要になりました。
また、新たに加えられた保存方法として、「受け取る側が自由にデータを改変できない」クラウドシステムなどのサービスを利用することで、タイムスタンプがなくても「真実性の確保」が認められるようになりました。
2022年の電子帳簿保存法改正のポイント
2022年にも、電子帳簿保存法が改正されています。2022年の電子帳簿保存法改正におけるポイントは、主に以下のとおりです。
- スキャナ保存のタイムスタンプ要件が緩和された
- タイムスタンプ以外での代用が認められるようになった
- 領収書など国税関係書類への自署(署名)が不要になった
それぞれ解説します。
スキャナ保存のタイムスタンプ要件が緩和された
2022年の電子帳簿保存法改正に伴い、スキャナ保存に関するタイムスタンプの要件が緩和されています。
従来、書類を受領してから「おおむね3営業日以内」に、タイムスタンプを付与しなければなりませんでした。2022年の電子帳簿保存法で付与期間に関する要件が大幅に緩和されたため、最長で「2か月とおおむね7営業日以内」にまで延長されています。
タイムスタンプ以外での代用が認められるようになった
タイムスタンプ以外による代用が認められるようになったことも、2022年の電子帳簿保存法改正のポイントです。
入力期間内に訂正削除履歴の残るシステム(もしくは訂正削除のできないシステム)に格納することにより、タイムスタンプの付与要件に代えられます。ただし、自社システムではタイムスタンプ付与の代替要件を満たすことは原則としてできません。
領収書など国税関係書類への自署(署名)が不要になった
直接タイムスタンプとは関係ありませんが、それまで必要とされていた領収書などへの自署も不要になりました。
以前は、領収書や請求書の裏に受領者が署名をしたうえで保存をすることが必要でしたが、2022年の改正によって、この署名も不要になりました。
タイムスタンプを取得するまでの流れ(発行要求・発行・検証)
タイムスタンプを取得するまでの流れは、以下のとおりです。
- 利用者が発行を要求する
- 第三者機関が発行する
- 利用者が検証する
まず、利用者が内容を要約した「ハッシュ値」を作成して第三者機関(時刻認証局、TSA)に送信しなければなりません(タイムスタンプの要求)。続いて、TSAが受け取ったハッシュ値と時刻を結びつけて、タイムスタンプトークンを返送します(タイムスタンプの発行)。
最後に、利用者側での検証作業が必要です。電子データから再度ハッシュ値を算出し、TSAから返送されたトークンの値と比較します(タイムスタンプの検証)。両者が一致すれば、発行時点から内容が変わっていないことを証明可能です。
タイムスタンプを取得する際にかかる費用
タイムスタンプを取得するにあたってかかる費用は、利用するサービスによって異なります。
各サービスを比較する際は、初期費用だけでなく、運用費用にも注目しなければなりません。初期費用が安くても、毎月かかる運用費用が割高だとコスト負担が重くなる可能性があります。
会社の規模によって費用が異なる場合もあるため、自社にあったサービスを選ぶことが大切です。
電子帳簿保存法にタイムスタンプで対応する際の注意点
電子帳簿保存法にタイムスタンプで対応する際の注意点は、主に以下のとおりです。
- 要件を満たしていることを確認する
- 付与を後回しにしないようにする
- 社内で原本の取り扱いルールを決める
それぞれ解説します。
要件を満たしていることを確認する
タイムスタンプを付与する場合は、電子帳簿保存法における真実性の要件を満たしていることを確認しましょう。要件を満たすためには、以下いずれかの措置が求められます。
- タイムスタンプが付与されてから、取引情報の授受を行う
- 取引情報の授受後にタイムスタンプを付与し、保存者もしくは監督者に関する情報を確認できるようにする
また、タイムスタンプを付与しない場合は、以下の要件を満たさなければなりません。
- 記録事項の訂正・削除をした場合に、事実や内容を確認できるシステムもしくは記録事項の訂正・削除をできないシステムで取引情報の授受や保存をする
- 正当な理由がない訂正・削除の防止に関する事務処理規程を定めて、規程に沿って運営する
なお、保存方法によっては、タイムスタンプに関する要件とは別に「可視性」や「検索性」の確保が求められることもあります。
付与を後回しにしないようにする
タイムスタンプで対応する際は、付与を後回しにしないことも大切です。
タイムスタンプは、最長でも「2か月とおおむね7営業日まで」に付与しなければなりません。付与を後回しにすると真実性を確保できなくなるため、早めに対応しましょう。
なお、「2か月とおおむね7営業日まで」はあくまで最長で認められる期間です。業務処理サイクルによって「2週間とおおむね7営業日以内」「20日とおおむね7営業日以内」などの対応が求められることがあるため、安易に最長期間で判断しないようにしましょう。
社内で原本の取り扱いルールを決める
社内で原本の取り扱いルールを決めておくことも必要です。
タイムスタンプを付与して保存した文書の原本は、即時廃棄しても構いません。ただし、企業や部署によっては、リスク管理目的で原本を保存しているケースもあるでしょう。
統一されたルールがないと、従業員によって対応にばらつきが生じたり、どうすればよいか悩んで余計な時間をかけたりする可能性があります。社内で混乱が生じないように、原本の取り扱いについてマニュアルや規程などで明確に定めておきましょう。
電子帳簿保存法に適切に対応するためのポイント
すでに電子帳簿保存法に対応したつもりでも、法律を遵守した状態で適切に対応できているとは限りません。電子帳簿保存法に適切に対応するためのポイントは、以下のとおりです。
- 保存期間を確認する
- 経費精算システムの導入を検討する
それぞれ解説します。
保存期間を確認する
電子帳簿保存法に適切に対応するために、電子データの保存期間を押さえておくことが大切です。スキャナ保存した原本自体は廃棄可能ですが、電子データについては保存期間が定められています。
法人の場合は、原則として書類を確定申告書の提出期限の翌日から7年間保存しなければなりません。また、青色申告書を提出した事業年度で欠損金額(青色繰越欠損金)が生じた事業年度などについては、10年間保存することが求められています。
参考:国税庁「No.5930 帳簿書類等の保存期間」
経費精算システムの導入を検討する
電子帳簿保存法に適切に対応するために、経費精算システムを導入することも検討しましょう。
電子帳簿保存法に対応した経費精算システムや会計サービスを取り入れれば、タイムスタンプを付与せずに電子保存できたり、アップロードしたタイミングで自動でタイムスタンプを付与したりできます。その結果、業務効率化の向上やコストの削減につながるでしょう。
楽楽精算でスムーズに電子保存できる理由
電子帳簿保存法に対応した経費精算システムのひとつが、「楽楽精算」です。「楽楽精算」は電子帳簿保存法に完全対応しているため、担当者は複雑な法的要件を意識せず安全に電子保存できるでしょう。
たとえば、「楽楽精算」には、書類をアップロードすれば自動でタイムスタンプが付与される機能が備わっています。また、電子取引データについてはタイムスタンプの付与なしで適切に保存できます。
電子帳簿保存法への対応を効率化したいなら、ぜひ「楽楽精算」の導入をご検討ください。
>> 電子帳簿保存法に対応した経費精算システム「楽楽精算」についてはこちら
「楽楽精算」の料金、導入費用については以下のページを参考にしてください。
まとめ
タイムスタンプは、電子データの真実性を証明する重要な技術です。電子帳簿保存法の改正により、現在ではシステムによる代用も認められていますが、適切な付与期限や保存要件を守る必要があります。
効率的な法対応を実現するためには、自動的にタイムスタンプを付与する機能を持つシステムの導入が近道です。
たとえば、クラウド型経費精算システム「楽楽精算」には、領収書や請求書などをスキャナで読み込むときに自動的にタイムスタンプが付与される機能が搭載されています。
「楽楽精算」では、読み込んだデータをただ保管するだけではなく、必要な時に確認できるように検索機能があったり、改ざんがないか確認するためタイムスタンプの検証を行う一括検証機能を搭載していたりするなど、電子帳簿保存法での運用ができるように、様々な機能が付加されています。より効率の良い経理処理を目指している企業様は、是非この機会にシステムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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