監修者:安田 亮(公認会計士・税理士・1級FP技能士)
一般的な領収書には、発行者・日付・金額・但し書き・宛名を記載します。また、インボイス制度に対応するためには、インボイス発行事業者の登録番号・適用税率・区分ごとに記載した消費税額等も盛り込まなければなりません。

領収書の書き方について、細かな決まりはありません。一般的には、タイトル(「領収書」)を記載し、あわせて以下の項目を記載します。
それぞれの書き方について解説します。
領収書を作成する際は、誰が発行しているのかを明確にするために発行者情報の記載が必要です。領収書の下部に、自社の名称や住所、電話番号を記載しましょう。
【記入例】
株式会社〇〇 本店
〒000-0000
東京都〇〇区〇〇0-0
TEL:03-0000-0000
複数の支社や店舗を構えている場合は、会社名だけでなく支社名・店舗名まで記載します。また、発行者情報が記載された欄には、印鑑を押すことが一般的です。
領収書の右上には、取引年月日を記載します。商品やサービスを提供した日付と代金を受け取った日付が異なる場合は、代金を受け取った日を記載しましょう。
日付は、和暦でも西暦でもかまいません。いずれの場合も省略せずに正確な日付を記載しましょう。
【記入例】(和暦)
令和◯年◯月◯日
【記入例】(西暦)
20YY年MM月DD日 もしくは20YY/MM/DD
なお、日付の箇所には連番(例:No:00001)を記載することが一般的です。連番をつけておくことにより、発行後に領収書の内容を確認したり、追跡したりしやすくなります。
領収書の中心には、受け取った金額を記載します。商品やサービスそのものの額ではなく、消費税を含めて受け取った額を記載しましょう。
【記入例】
¥55,000-
金額を記入する際は、改ざんを防ぐために先頭に円マーク(¥)をつけること、3桁ごとにカンマ(,)で区切ること、末尾にハイフン(-)をつけることがポイントです。ハイフンの代わりに「※」をつけることもあります。
また、改ざん防止をより重視する場合は、以下のように算用数字の代わりに漢数字(大字)でも対応可能です。
【記入例】
金五萬円也
漢数字を用いる場合は、金額頭部に「金」、末尾に「也」を記載しましょう。また、以下のように一般的な漢数字と異なる表記を使う点に注意が必要です。
「一」のように改ざんしやすい表記を避けることが、一般的に使われる漢字と異なる文字を使う理由として挙げられます。
但し書きとは、具体的に何に対する代金を受け取った際の領収書であるかを示すための文言です。
領収書の金額の下に、「但し、〇〇として上記正に領収いたしました」などの文言を記載します。発行後に文言を付け足されることを防ぐため、「但し、〇〇」で終わらせないことが大切です。
【記入例】
但し、書籍代として上記正に領収いたしました。
取引の内容に応じて、「書籍代」の部分を「お食事代」や「消耗品費」、「広告宣伝費」などに置き換えてください。
領収書の左上には、交付する相手を正式名称で記載します。間違えないように、事前に受け取った名刺や書類を確認する、メモ用紙に正式名称を記入してもらうなどの対応が重要です。
【記入例】(個人)
〇〇 〇〇 様
【記入例】(法人)
株式会社〇〇 御中
法人の場合は、会社名や支店名・部署名などの後に「御中」をつけます。また、極力「株式会社」を「(株)」のように省略しないようにしましょう。
なお、インボイス制度の観点からも、原則として宛名の記載が必要です。ただし、以下の事業を営んでいる場合は、簡易インボイスとして例外的に宛名の記載を省略することが認められています。
領収書をインボイス制度に対応させるためには、以下の項目の記載も必要です。
インボイス制度とは、事業者が複数税率に対応した上で消費税を正確に納付するための制度を指します。インボイス発行事業者である売り手は、買い手から求められた場合にインボイス(適格請求書)を発行しなければなりません。
必要事項が記載されていれば、請求書の代わりに領収書でも「インボイス」として認められます。それぞれの内容について、押さえておきましょう。
インボイス制度に対応した領収書にするためには、インボイス発行事業者の登録番号(インボイス番号)を記載しなければなりません。登録番号とは、適格請求書発行事業者として登録を受けた事業者に対して通知される番号のことです。
自社の登録番号が不明な場合は、登録時に受け取った登録通知書などを確認しましょう。確認できる書類が見当たらない場合は、各国税局に設置されているインボイス登録センターに問い合わせる方法もあります。
法人の場合、登録番号は「T」+法人番号(13桁)で構成されます。領収書に記載する際は、発行者情報の下部に登録番号を記載するとよいでしょう。
【記入例】 登録番号:T0123456789012
参考:国税庁「各局(所)インボイス登録センターのご案内」
インボイスの要件を満たした領収書を発行するためには、8%・10%それぞれの対象となる対価の総額と適用税率の記載も必要です。
【記入例】
<金額(税込)>
8%対象 10,800円
10%対象 5,500円
金額は税抜・税込いずれの表記でもかまいません。統一した方法で、税率ごとの合計額を計算しましょう。 なお、軽減税率対象の商品を含む場合は、但し書きの中で「(軽減税率対象)」や「※軽減税率対象」などの文言を加えることが一般的です。
【記入例】
但し、食品代(軽減税率対象)、書籍代として上記正に領収いたしました。
インボイスには、8%・10%それぞれの消費税額等の記載が必要です。8%・10%それぞれの対象となる対価の総額、適用税率とあわせて、消費税額等も記載しましょう。
【記入例】
<消費税額等>
8%消費税額 800円
10%消費税額 500円
なお、簡易インボイスでの対応が認められている事業者の場合は、「適用税率」もしくは「消費税額等」いずれか一方の記載でもかまいません。
そもそも、領収書は代金が確かに支払われたことを証明するために必要な書類です。支払側は、領収書を保存しておくことにより、すでに代金を支払っていることを示せます。
代金を受け取った側は、支払側から求められた際に領収書を発行しなければなりません。民法第486条には、弁済者(支払側)は弁済時(支払時)において、受領者(代金を受け取った側)に対して受取証書(領収書)の交付を請求できることが規定されています。
参考:e-Gov法令検索「民法第四百八十六条」
領収書を発行するまでの一般的な流れは、以下のとおりです。
領収書の控えは、支払側とのトラブルを避けたり、正しく経理処理をしたりするために必要な書類です。複写式の領収書を使用する場合は、発行時に手間をかけずに控えを残せます。
複写式を使わずに領収書を発行する場合は、「同じ領収書を2枚用意する」もしくは「作成した領収書をコピーする」などの対応をした上で、割印が必要です。
なお、法人の場合は、基本的に領収書の控えを確定申告書の提出期限の翌日から7年間(繰越欠損金が生じた事業年度の分は10年間)保存しなければなりません。
領収書の記載金額によって、収入印紙を貼らなければならないことがあります。
収入印紙とは、租税や手数料を徴収するために政府が発行している証票です。印紙税法上の課税文書に該当する場合に、印紙税の納付義務が発生します。
記載金額1,000万円までの印紙税額は、以下のとおりです。
| 記載金額 | 税額 |
|---|---|
| 5万円未満のもの | 非課税 |
| 5万円以上 100万円以下 |
200円 |
| 100万円超 200万円以下 |
400円 |
| 200万円超 300万円以下 |
600円 |
| 300万円超 500万円以下 |
1,000円 |
| 500万円超 1,000万円以下 |
2,000円 |
たとえば、領収書の記載金額が「¥49,800-」であれば、収入印紙の貼付は不要です。一方、記載金額が「¥50,500-」の場合は、200円の収入印紙を貼る必要があります。
なお、印紙税の納付には、収入印紙の貼付に加えて印章または署名による消印が必要です。領収書を作成する際に必要な収入印紙を貼り付けていなかった場合、当初納付する印紙税額の3倍に相当する過怠税が徴収されます。
参考:国税庁「No.7105 金銭又は有価証券の受取書、領収書」
領収書を手書きで発行する場合は、公文書に使えるボールペンを使用しましょう。鉛筆や摩擦で消えるタイプのボールペンで記入すると、金額などの項目を改ざんされるリスクがあるため、使用は避けましょう。
また、発行時に焦って宛名や金額を間違えないように注意が必要です。担当者向けにあらかじめ研修を実施する、マニュアルを用意しておくなどにより、ミスの発生を減らせます。
さらに、スムーズに控えを残せるように複写式の領収書の在庫を確保しておくことも大切です。
領収書を発行するにあたって、いくつか気をつけなければならないことがあります。クレジットカード払いの場合・記入を間違えた場合・再発行を依頼された場合に分けて解説します。
クレジットカード払いの取引では、領収書の発行は義務付けられていません。取引時に金銭の直接的なやり取りが発生していないためです。支払側は、取引時に受け取るクレジットカードの控え(クレジット売上票)や、クレジットカードの利用明細によって金銭の支払いを示せます。
領収書を発行する場合、記載金額が5万円以上でも、クレジットカード払いなら収入印紙の貼付が不要である点も押さえておきましょう。表題が「領収書」でも金銭や有価証券の受領事実が存在せず、印紙税法上の課税文書に該当しないためです。
ただし、クレジットカードを利用した取引であることが領収書に記されていない場合は課税文書にあたるため、印紙税の納付義務が生じます。必ず領収書に「クレジットカード払い」と明記しましょう。
参考:国税庁「クレジット販売の場合の領収書」
領収書に記載する金額を間違えた場合は、再度作成しなければなりません。書き損じた分については、大きく「×」をつけるなどで書き損じであることを示し、保管しておきます。すでに取引先に交付してから金額のミスに気づいた場合は、状況を説明して不備があった領収書を回収しましょう。
金額以外の項目を間違えた場合は、「訂正したものは無効」などの文言がない限り二重線と訂正印を使って処理できることがあります。修正液や修正テープでの修正はしないようにしましょう。
なお、修正内容によっては、税務署から不正を疑われたり、交付先に失礼な印象を与えたりする可能性があります。金額以外の訂正でも、極力再作成で対応した方がよいでしょう。
取引先から領収書の再発行を依頼されても、安易に対応しないようにしましょう。同じ取引に対して複数の領収書を発行すると、売上や経費の架空計上につながりかねないためです。 領収書の再発行を依頼された際は、相手との関係を悪化させないよう丁寧に「二重利用のリスクがあるため対応できない」旨を伝えましょう。領収書自体にあらかじめ再発行ができない旨を記載しておくと、トラブルを防ぎやすくなります。
どうしても対応せざるを得ない場合は、「再発行」と表示した上で再発行しましょう。再発行の場合でも、印紙税法の課税文書にあたる場合は収入印紙を貼付しなければなりません。また、紛失以外の理由で再発行する場合は、当初発行した領収書を必ず回収しましょう。
領収書をスムーズに作成するための主なコツは、以下のとおりです。
それぞれについて詳しく解説します。
スタンプを使うことが、手書きの領収書をスムーズに作成するコツの一つです。自社の住所スタンプや、定期的に領収書を発行している相手の宛名スタンプを使うことで、手間を省いたり書き間違いを防いだりできます。
また、パソコンで領収書を作成する場合は、テンプレートを作っておくことがポイントです。Excelで領収書のテンプレートを作成しておけば、記載内容で迷う時間を省けるうえに、内訳に記載した内容に基づき金額を自動計算できます。
システムを導入することも、領収書をスムーズに作成するコツです。領収書の発行に対応しているシステムを導入すれば、金額の自動計算や自社の登録番号の自動入力などができるため、効率化につながります。
また、領収書を電子化できる点もシステムを導入するメリットです。領収書をWEB上やメールなどで相手に交付できれば、紙の発行が不要になるため、印刷代や収入印紙代の削減にもつながります。
関連記事:領収書を電子発行するには?メリットやデータ保存の注意点について
「楽楽明細」なら、CSV形式やPDF形式のデータをアップロードするだけで帳票を一括作成可能なため、領収書の作成にかかる手間や入力ミスを軽減できるでしょう。項目やレイアウトは自由に調整できるため、導入後も従来自社で使用していたものと同様の領収書フォーマットを使用できます。
また、「楽楽明細」はインボイス制度や電子帳簿保存法に対応したシステムです。設定に基づき登録番号や税率ごとの計算も自動印字できるため、法令遵守や業務の効率化につながるでしょう。
領収書の書き方について、細かな決まりはありません。ただし、発行者・日付・金額・但し書き・宛名(受領者)は盛り込むようにしましょう。
また、インボイス制度に対応した領収書にするためには、インボイス発行事業者の登録番号や適用税率、区分ごとに記載した消費税額等も記載しなければなりません。領収書を再作成する手間をかけないためにも、宛先や金額などを間違えないことが大切です。
領収書を発行できるシステムを導入すれば、領収書を作成する際の手間や記入ミスを軽減できます。クラウド型電子請求書発行システムの「楽楽明細」は、CSV形式やPDF形式のデータをアップロードするだけで帳票を一括作成できるシステムです。
「楽楽明細」を活用すれば、既存のレイアウトを変えずにインボイス制度に対応した領収書をスムーズに発行できます。登録番号や税率ごとの計算も自動印字可能なため、手間を軽減できます。
領収書の書き方や発行方法で悩んでいる場合は、「楽楽明細」の導入をご検討ください。
1987年香川県生まれ、2008年公認会計士試験合格。
大手監査法人に勤務し、その後、東証一部上場企業に転職。 連結決算・連結納税・税務調査対応などを経験し、2018年に神戸市中央区で独立開業。
※ 月の発行件数500件の場合の月間の導入効果(ラクス調べ)


「楽楽クラウド」サービスのご紹介です。
企業のあらゆるお悩みを解決できるシステム・サービスをご用意しています。
おかげ様でラクスグループのサービスは、のべ108,000社以上のご契約をいただいています(※2026年3月末時点)。「楽楽明細」は、株式会社ラクスの登録商標です。
本WEBサイト内において、アクセス状況などの統計情報を取得する目的、広告効果測定の目的で、当社もしくは第三者によるクッキーを使用することがあります。なお、お客様が個人情報を入力しない限り、お客様ご自身を識別することはできず、匿名性は維持されます。また、お客様がクッキーの活用を望まれない場合は、ご使用のWEBブラウザでクッキーの受け入れを拒否する設定をすることが可能です。