勤怠管理クラウドとは?システム導入のメリット・デメリットと失敗しない選び方を解説
働き方改革への対応やテレワークの普及により、企業の勤怠管理にはこれまで以上に正確さと柔軟さが求められています。
一方、紙やExcelによる管理では、打刻漏れや集計ミスが起こりやすく、残業時間や有給休暇の管理不足につながるおそれもあります。
こうした課題の解決策として注目されているのが、クラウド型勤怠管理システムです。
この記事では、クラウド型勤怠管理システムの基本情報やオンプレミス型との違い、失敗しない導入のポイントまで、わかりやすく解説します。
勤怠管理システムによる給与計算業務の効率化を検討されている場合は、以下の記事も参考にしてください。
関連記事:勤怠管理システムと給与計算の連携で業務効率化とミス防止!
この記事のポイント(要約)
POINT- 勤怠管理クラウドとは?
- インターネット経由で出退勤や休暇を管理するシステム。
- 勤怠管理クラウドの導入メリットは?
- 締めタイミングにおける勤怠データの手入力・集計計算工数の削減とコンプライアンスを遵守した勤怠管理の実現強化。
- 勤怠管理クラウド選びのポイントは?
- 自社の働き方(勤務形態など)への対応可否や法改正時のアップデート体制、サポートの充実度。
この記事の目次
勤怠管理クラウドとは
勤怠管理クラウドとは、従業員の出退勤や労働時間、休暇などの勤怠データをインターネット上で一元管理し、正確な勤怠記録と給与計算を支援するクラウド型の勤怠管理システムです。
インターネット環境さえあればどこからでもアクセスでき、サーバーを自社で用意する必要がありません。
勤怠管理システムには、クラウド型のほかにオンプレミス型もあります。オンプレミス型は自社内にサーバーを設置し、システムの設計から運用までを自社で行う方式です。
カスタマイズ性が高い反面、費用や導入スピード、法改正対応、保守運用などの面でクラウド型とは違いがあります。
以下の比較表で、両者の特徴を整理しました。
| タイプ | クラウド型 | オンプレミス型 |
|---|---|---|
| サーバー | 不要(システム提供会社が用意) | 自社でサーバー設置する必要がある |
| コスト | 比較的安い ・初期費用:数万~数十万 ・月額料金:数百円(/人) | 比較的高額 ・システム構築、サーバー導入:数百万 ・保守、運用:数十~数百万 |
| 運用・管理 | システム提供会社が実施 | 自社が実施(改修や法改正対応も含む) |
| セキュリティ | サービス提供会社が担当(見極めが重要) | 自社で担当 (厳重に管理できるが手間と知識が必要) |
企業の規模や導入目的、IT環境によって適するタイプは異なります。
ただし、特別なセキュリティ要件や独自ルールによるカスタマイズが必要な場合を除き、コストや運用管理の手軽さの観点から、クラウド型の勤怠管理システムがおすすめです。
クラウド型の勤怠管理システムが注目される背景
近年、クラウド型を中心に勤怠管理システムが注目されている背景には、主に以下の3点が挙げられます。
1. 働き方の多様化で「時間や場所にとらわれない勤怠管理」が求められている
2. 法改正により「労働時間の客観的把握」が急務になっている
3. DX推進による「業務効率化や脱属人化」の重要性が高まっている
働き方改革(※1)の影響で、直行直帰やリモートワークなど、多様な働き方に対応できる環境づくりは必要不可欠です。そのため、時間や場所にとらわれない勤怠管理の重要性が高まっています。
また、厚生労働省のガイドライン(※2)では、使用者には労働時間を適正に把握する責務があるとされています。
タイムカードやExcelのような手書きや自己申告による勤怠記録ではなく、客観的に把握できる方法による管理が望ましいでしょう。
さらに、企業が取り組むべきとされるDXの推進(※3)では、業務効率化はもちろん、脱属人化が進んでいます。
勤怠管理システムというデジタルツールを取り入れることで、その動きを加速させることが期待できます。
(※1)参考:厚生労働省「働き方改革の実現に向けて」
(※2)参考:厚生労働省「労働時間の適正な把握 のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」
(※3)参考:総務省「デジタル・トランスフォーメーションの定義」
クラウド型勤怠管理システムの主な機能
クラウド型の勤怠管理システムには、日々の勤怠管理を効率化し、法令遵守を支える多彩な機能が備わっています。主な機能は以下のとおりです。
本章では、上記の機能について紹介していきます。
豊富な打刻機能
クラウド型の勤怠管理システムは、さまざまな打刻方法に対応しているため、就業環境に合わせた打刻方法を選べます。
具体的には、パソコン・スマートフォンでのブラウザ打刻に加え、交通系ICカードや共有タブレット、顔認証など、多彩な手段に対応しています。
たとえば、直行直帰の多い営業職には、外出先でも利用できるスマートフォンでの打刻が有効です。さらに、GPS機能を活用した打刻であれば打刻場所も記録されるため、不正打刻の抑止にもつながります。
また、工場や店舗では共有タブレットを設置することで、個人端末がなくてもスムーズに打刻が可能です。
厚生労働省のガイドラインでも示されている「労働時間の客観的な記録」への対応と、現場の利便性を両立できる点が、クラウド型の打刻機能の強みといえるでしょう。
(※)参考:厚生労働省「労働時間の適正な把握 のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」
勤怠データの自動集計機能
打刻データをもとに、労働時間などの勤怠データが即座に自動集計される点は、クラウド型勤怠管理システムの大きな特徴の一つです。
残業・深夜・休日労働の切り分けや端数処理、変形労働時間制への対応など、複雑な計算もシステムが自動で処理します。
これにより、これまで人事労務担当者が行っていた以下のような手作業が不要になります。
- 従業員のタイムカードを1枚ずつ確認する作業
- Excelへの手入力や転記作業
- 拠点ごとのデータ回収作業
その結果、事務工数を大幅に削減できるだけでなく、給与計算への連携もスムーズに進みます。また、手作業による集計ミスの防止にもつながります。
長時間労働や打刻漏れへのアラート機能
クラウド型勤怠管理システムには、36協定の限度時間超過や打刻漏れ、連続勤務などに対して、本人と上長へ自動でアラート通知が届く仕組みが備わっています。
「締め日になって初めて残業超過に気づく」といった事態は、手作業での勤怠管理において発生しがちな課題です。しかしクラウド型勤怠管理システムのアラート機能を活用すれば、問題が発生する前段階で注意喚起が行われるため、未然にリスクを回避できます。
日次・週次で状況を把握しながら手遅れになる前に対処できる点が、アラート機能の最大の特徴です。
各種申請・承認のワークフロー機能
残業申請や休日出勤申請、打刻修正などの手続きが、システム上で完結するワークフロー機能も、クラウド型勤怠管理システムの重要な機能の一つです。
紙の申請書を回収・照合する手間がなくなり「いつ・誰が承認したか」の証跡が自動で記録されるため、承認漏れの防止にもつながります。
さらに、未承認の申請を一覧画面でまとめて確認できるため、停滞しがちな月末の締め作業もスムーズに進められるでしょう。
申請から承認までのフローが可視化される点は、申請・承認業務の透明性向上にもつながります。
休暇・残業管理機能
クラウド型勤怠管理システムには、有給休暇の付与日数や消化状況、有効期限などを自動で管理できる機能も搭載されています。こうした機能は、法令遵守の観点からも重要です。
特に「年5日の年次有給休暇取得義務」への対応は多くの企業にとって重要な課題ですが、この機能を活用すれば常に最新の取得状況を把握し、有効期限前に取得を促すことができます。
また、「誰の有給が何日残っているか」を本人と管理者の双方が確認できるため、従業員からの問い合わせ対応にかかる負担も軽減されるでしょう。代休や振替休日の管理ミスも防げることから、法令違反の防止にもつながります。
さらに、休暇だけでなく残業時間も即時に把握できるため、一人ひとりの労働状況を正確に管理することが可能です。
クラウド型勤怠管理システムのメリット
クラウド型勤怠管理システムの導入には、大きく分けて「業務効率化」と「運用・管理の手間やコスト削減」の2つの視点でのメリットがあります。
<紙のタイムカードやExcelと比べた「業務効率化」メリット>
<オンプレミス型と比べた「運用・管理の手間やコスト削減」メリット>
それぞれのメリットを、具体的に見ていきます。
勤怠データの集計・転記の自動化で事務工数を大幅に削減できる
クラウド型勤怠管理システムを導入すれば、勤怠データの集計・転記にかかる事務工数を大幅に削減できます。
たとえば複数の支店や店舗・工場などを持つ企業において、各拠点からタイムカードやExcelファイルを回収する運用では、内容を確認しながら手入力や転記を行う作業が発生します。こうした運用は、事務負担が大きいことが実情です。
しかし、クラウド型の勤怠管理システムを導入すれば、勤務データの集計からデータ出力までを一貫して自動化でき、ボタンひとつで完結します。特に、月末月初に集中していた事務負担が分散・解消される点は大きなメリットです。
給与計算システムへのデータ連携もスムーズになり、転記ミスによる再計算の手間も削減できます。
法改正へ自動対応しコンプライアンスを強化できる
クラウド型勤怠管理システムであれば、労働関連法の改正時にもユーザー側でのシステム改修や設定変更の手間なく、最新の法令に準拠した運用を維持できます。
人事労務に関する法令は頻繁に見直されるため、企業にはその都度の迅速な対応が求められます。しかし、自社でシステムを調整したり、運用ルールを手作業で変更したりするのは大きな負担です。
一方でクラウド型勤怠管理システムであれば、法改正にあわせて残業時間の上限管理や有給休暇の取得管理、アラート通知の基準などの設定がシステム側で更新され、ユーザー側で個別に対応する手間を抑えられます。
その結果、36協定をはじめとする法令違反を回避しやすく、社会的信用の維持にもつながるでしょう。
労働時間をリアルタイムに可視化し打刻漏れや残業超過を未然に防げる
クラウド型勤怠管理システムでは、打刻データがリアルタイムで反映され、自動的に労働時間が集計されるため、常に最新の労働状況を把握できます。
月末の締め作業で初めて問題に気づくのではなく、日次・週次の単位で勤怠状況の確認が可能です。管理画面上で従業員ごとの労働時間を一覧で把握できるため、打刻漏れや残業超過といった異常にも気づきやすくなるでしょう。
さらに、アラート機能を活用すれば残業時間が上限に近づいた段階で本人や上長に自動通知が届きます。
「手遅れになる前」に現場へ注意喚起を行える仕組みは、労務リスクの抑止に有効です。
初期費用を抑えてスピーディーに運用を開始できる
クラウド型勤怠管理システムは、オンプレミス型と比較して初期費用を抑えつつ、短期間で運用を開始できます。
自社サーバーの設置や複雑なネットワーク構築が不要なため、導入にかかるコストと時間を大幅に圧縮できる点が特長です。
また、必要な人数や拠点単位で利用を開始できるため、スモールスタートが可能な点もメリットです。まずは一部の部署や拠点から導入し、効果を確認しながら段階的に全社展開を進められます。
企業の成長や拠点増加にも柔軟に対応でき、長期的な運用コストの適正化にもつながるでしょう。
サーバー保守の手間がかからない
クラウド型勤怠管理システムを導入すれば、自社でのサーバー管理が不要となり、運用に関わる負担を大きく軽減できます。
クラウド型の勤怠管理システムは、システム提供会社が管理するサーバー上でサービスを運用しています。企業側はそのサービスをインターネット経由で利用できるため、サーバー構築・保守・セキュリティ対策・障害対応などの技術的な業務から解放される点が特長です。
たとえば、システムに不具合が発生した際にも、24時間の監視体制があるサービスを選べば、スピーディーに復旧が図られ、業務停止の危険性も抑えられるでしょう。また、アップデートも自動で行われるため、最新機能や法改正への対応も滞りなく進められます。
結果として、IT部門の負荷軽減や人件費の抑制につながり、本来注力すべき業務に集中しやすくなる点もクラウド型勤怠管理システムのメリットです。
クラウド型勤怠管理システムのデメリットと注意点
クラウド型勤怠管理システムには多くのメリットがある一方で、導入時に把握しておきたいデメリットや注意点もあります。もっとも、いずれも事前の対策で回避できるものがほとんどです。
ここでは、代表的なデメリット・注意点を紹介します。
それぞれの内容と回避策について、具体的に見ていきましょう。
導入時の設定・運用設計に手間がかかる場合がある
Excelやタイムカードと比べると、クラウド型勤怠管理システムは初期設定の工程が多くなる場合があります。
なぜなら、就業規則や雇用形態ごとの勤怠ルール、承認フローなどをシステムに反映する必要があるためです。
たとえば、フレックスタイム制や変形労働時間制を採用している企業では、勤務パターンの登録や集計ルールの設定に一定の手間がかかることがあります。
ただし、設定作業から運用開始後まで見据えた手厚いサポート体制が整った製品を選べば、つまずきやすい設定や運用設計も安心して進めやすくなります。
現場が慣れるまで運用が不安定になる場合がある
クラウド型勤怠管理システムの導入により新たな管理体制へ移行した直後は、現場の従業員が操作に慣れるまで、一時的に運用が不安定になる場合もあります。
これまでの紙やExcelでの運用から打刻や申請の方法が変わることで、導入直後の打刻ミスや申請漏れが発生しやすいためです。
混乱を最小限に抑えるには、本格稼働前にテスト運用期間を設けることが有効です。操作マニュアルの配布や説明会の実施に加え、現場からの質問に対応する窓口を明確にしておけば、スムーズな移行につながります。
画面構成がシンプルで直感的に操作できるシステムであれば、定着までの期間も短縮されるでしょう。
通信障害や権限設計ミスによるリスク
クラウド型勤怠管理システムはインターネット経由で利用するため、通信障害が発生した際に打刻や申請ができなくなる場合があります。これはクラウドサービス全般に共通する注意点ともいえます。
このリスクに備えるには、導入前に以下の点を確認しておくことが重要です。
- 障害時に後から手入力で打刻修正が可能か
- オフライン打刻に対応しているか
- システム提供会社の稼働率や障害対応体制はどうか
万が一の通信障害に備えた代替手段を把握しておけば、業務への影響を最小限に抑えやすくなります。
ルール整備をしないと逆に工数が増える
「システムを導入すればすべて自動化される」と考えるのは適切ではありません。事前に就業規則の整理や運用ルールの確立をしないまま導入すると、かえって工数が増えてしまう場合があります。
たとえば、部署ごとに独自の勤怠ルールが存在していると、システム上で統一的に管理できず、例外的な処理が発生しやすくなります。こうした事態を防ぐため、導入前に以下の準備が重要です。
- 部署ごとの独自ルールを可能な範囲で共通化する
- 「誰が・何を・いつまでに行うか」という運用フローを明確にする
- 役割(管理者・承認者・一般)に応じた権限設計を実施する
運用フローが確立されれば、担当者が個別に督促する手間も軽減され、最終確認に専念しやすくなります。
加えて、導入時から手厚くサポートしてくれる勤怠管理システムを選べば、社内で整備したフローのシステムへの反映を支援してもらえるでしょう。
クラウド型勤怠管理システム導入のよくある失敗例
勤怠管理システムの選択・導入では、いくつか気を付けなければならないことがあります。ここではその失敗例として3つを紹介します。
自社の状況と照らし合わせながら、適したサービスを選択するための参考にしてください。
自社のニーズにシステムが合っていなかった
クラウド型勤怠管理システムを導入する際、自社の運用ルールや既存の業務体制に合わない製品を選んでしまうと、かえって業務が非効率になる可能性があります。
企業ごとに勤怠ルール・雇用形態・社員数・システム連携の要件は異なります。それらに対応していないシステムでは、本来の業務フローに支障が出たり、追加の運用コストが発生したりするでしょう。
加えて、工数管理やプロジェクト別管理といった機能が必要な企業にとっては、導入前にその機能の有無を見落とすと大きな痛手となります。
以下は、他のシステム導入で失敗を経験し、その後「楽楽勤怠」への切り替えを検討されたお客様からよく伺う具体的な失敗例です。
- 「(勤怠管理含む)人事管理を一元化しよう」としてスイート型(※)のシステムを導入したものの、一部の業務が非対応で手作業が残り、最終的には他のシステムを併用せざるを得なくなった
- 勤怠と同時に工数管理を行いたかったが、導入した製品にはその機能がなく、業務要件を満たせなかった
こうした失敗を防ぐためには、システム選定時に自社の課題・目的・業務フローを明確にしたうえで、それに合致する機能を持った製品を慎重に比較・検討することが重要です。
(※)スイート型:勤怠管理だけでなく人事や給与などの機能もまとめて一元管理できるシステムのこと
システムの安定性やセキュリティ面に不安を感じた
クラウド型勤怠管理システムを導入したものの、システムの安定性やセキュリティ面に不安を感じてしまうケースも少なくありません。
クラウド型では提供会社のサーバーを利用するため、稼働状況やセキュリティレベルを企業側で直接管理しにくい側面があります。
運用フェーズで想定される具体的な失敗例は、以下の通りです。
- 月末の締め作業や朝の打刻時間帯にアクセスが集中し、システムのレスポンスが著しく低下することで打刻漏れや業務の遅延が生じ、現場の混乱を招いた
- 在宅勤務中に社外ネットワークからアクセスした際、通信が暗号化されておらず、情報流出のリスクを指摘される事態になった
このように、システム選定時に「安定稼働設計」や「セキュリティ対応状況」を十分に確認していなかったことが、後のトラブルの要因となるケースは多くあります。
導入を検討する際には、サーバー負荷への対応力や暗号化通信の有無、社内セキュリティポリシーとの整合性などをあらかじめ確認することが、リスク回避の鍵となります。
導入後のサポートが不十分だった
クラウド型勤怠管理システムの導入後、十分なサポートが受けられずに運用が滞るケースがあります。
このようなトラブルは、導入前にサポート体制を十分に確認していなかったことが原因である場合が多いです。
サポート内容や対応範囲は提供会社によって異なり、「導入時は丁寧だったが、運用フェーズではほとんど支援がなかった」といった声も少なくありません。
たとえば、以下のような失敗例が挙げられます。
- システムの初期設定はスムーズに完了したが、本格運用を始めてから不具合が頻発。問い合わせから返信までタイムラグがあり、現場が混乱した。
- 導入前には「サポートあり」とだけ聞いていたが、実際にはチャット形式のみで、回答には1~2営業日かかる仕様だった。急ぎの対応には不向きだった。
このようなリスクを回避するためには、問い合わせチャネルや対応時間、専任担当者の有無など、具体的な運用フェーズでのサポート体制を事前に確認しておくことが重要です。
万が一のトラブルにも迅速に対応できる体制が整っているかどうかが、運用の成否を左右します。
クラウド型勤怠管理システムで失敗しない選び方
クラウド型勤怠管理システムの導入にあたっては、自社の勤務形態や運用要件、必要な機能などの観点を整理したうえで、適したシステムを選ぶことが重要です。
ここでは、前章で紹介した失敗例を防ぐための、おすすめの選び方を紹介します。
自社の勤務形態・運用要件に対応できるか確認する
クラウド型勤怠管理システムを選ぶ際は、自社の勤務形態や運用要件に対応できるかの事前確認が重要です。
企業によって、シフト制・フレックスタイム制・変形労働時間制などの勤務形態は異なります。また、正社員・パート・派遣社員などの雇用形態もさまざまです。
自社に合わないシステムを導入すると、手動での補正作業が発生し、ミスや属人化の原因になりかねません。
具体的には、以下のような点をシステム提供会社に確認しておきましょう。
- 自社の勤務パターンに応じた労働時間の集計が可能か
- 残業や有給休暇の申請・承認フローを柔軟に設定できるか
- 工数管理やプロジェクト別管理など、業務に必要な機能が備わっているか
これらの要件を満たす製品を選べば、実際の業務フローに無理なくフィットし、日常の運用がスムーズになるでしょう。
ただし、機能の豊富さだけで製品を選ぶのは注意が必要です。多機能なシステムを導入した結果、確認項目やマニュアルが膨大になり、現場の従業員が使いこなせないケースは少なくありません。
自社要件を整理して必要な機能に絞ったシンプルな設計が可能かどうかも、選定時の重要なポイントです。
自社に合った打刻方法や操作性のシステムか確認する
クラウド型勤怠管理システムは従業員が日常的に使用するツールであるため、「自社に合った打刻方法」と「誰にとっても使いやすい操作性」の両方を備えていることが選定のカギとなります。
勤務スタイルや業務環境に応じて、適切な打刻方法を選べるかどうかは非常に重要です。たとえば以下のような手段が考えられます。
- パソコンやスマートフォンによるブラウザ打刻
- 交通系ICカードや顔認証を使った物理的打刻
- Slackやチャットツールを利用した簡易打刻
とくに外出やリモートワークが多い企業では、場所を選ばず打刻できる仕組みが求められます。また、打刻漏れに対するアラート機能が搭載されていれば、管理精度の向上にもつながるでしょう。
さらに、システムの操作性も見落とせない要素です。画面構成がシンプルで直感的に操作できる設計であれば、ITに不慣れな従業員でもスムーズに使いこなせ、定着率も高まります。
給与計算システムなど他システムとの連携や拡張が柔軟なシステムか確認する
クラウド型勤怠管理システムを選ぶ際には、既存の給与計算システムなどの他のシステムとの連携が可能かどうかを必ず確認しましょう。
勤怠データは給与計算や人事評価と密接に関係しています。そのため、他のシステムとスムーズに連携できれば、二重入力や手動転記といった非効率を解消でき、人的ミスの防止にもつながります。
さらに、API連携やCSV出力といった拡張性やカスタマイズ性があれば、将来的な業務フローの変化にも柔軟に対応可能です。
たとえばAPI連携を活用すれば、勤怠データを給与計算システムへ自動連携でき、毎月のデータ取り込み作業を省略できます。またCSV出力に対応していれば、既存システムの形式に合わせてデータを出力し、手動での加工や再入力の手間を削減可能です。
業務の効率化と同時に、組織の成長を支える情報基盤として活用するには、「連携性」と「柔軟性」の両立がポイントとなります。
費用構成と運用コストを総額で比較する
クラウド型勤怠管理システムを比較する際は、月額料金だけでなく導入初期から数年間の運用を見据えた「トータルコスト」で判断することが重要です。
月額料金は「単価×人数」で算出されるのが一般的ですが、初期費用やオプション料金、サポート費用なども含めなければ正確な比較にはなりません。月額料金が安くても、必要な機能がオプション扱いで追加費用がかさむケースもあるでしょう。
複数社から見積もりを取得し、同じ条件・期間で総額を比較すれば、費用対効果の高い製品を見極められます。
導入支援・運用サポートの度合いを確認する
システムによってサポートの度合いは異なるため、自社の勤怠ルールやコンプライアンスに則りながら、必要かつ安心できるサポート体制があるかを確認しましょう。
確認すべき事項としては次のようなことが挙げられます。
- 専任担当によるサポートがあるか
- 初期設定からサポートしてもらえるか/設定代行サービスがあるか
- メールやチャットのみでなく電話やオンラインで担当者と直接やり取りできるか
なかには有料となるサービスもあるので、費用や対応スピードも含めて確認するのがおすすめです。
セキュリティ・法令対応体制を確認する
セキュリティ対策はもちろん、導入後の定期的なバージョンアップ体制が整っているかを確認しましょう。
クラウド型の勤怠管理システムは、ISMS認証や暗号化通信、アクセス制限設定など高度なセキュリティ機能を備えた製品もあります。
たとえばセキュリティ対策なら、データを24時間365日監視する万全の体制が整えられていれば、トラブル時も迅速な対応が可能になるでしょう。
また、法改正や労務ルールの変更にあわせて、システム側が継続的にアップデートされる体制かどうかも重要な確認ポイントです。
クラウド型勤怠管理システム導入の流れと成功のポイント
実際にクラウド型勤怠管理システムを導入する際は、余裕を持って進められるようスケジュールを立てるようにしましょう。
ここではシステム導入を成功させるための流れとポイントを解説します。
1.導入目的の明確化
クラウド型勤怠管理システムを導入する際は、まず「なぜ導入するのか」という目的を明確にしましょう。
目的が曖昧なままだと、自社に合わない機能を選んでしまい、期待する効果を得られないリスクがあります。特に勤怠管理の課題は部門ごとに異なるため、人事労務担当だけでなく、現場や管理部門など幅広い関係者の意見を集めて課題を整理することが有効です。
たとえば、「不正打刻を防ぎたい」「締め日の集計業務を効率化したい」といった具体的な課題を洗い出すことで、必要な機能が明確になります。
こうした課題と目的を可視化することで、導入後に“想定と違った”といったミスマッチを防ぎ、効果的なシステム選定につながります。
2.システムの選定
導入目的を明確にしたら、続いて自社に適したクラウド型勤怠管理システムを選定する段階に入ります。
システム提供会社ごとに、機能の強みやサポート体制、導入実績などは異なるため、複数の製品を比較検討することが重要です。
自社の業務要件と照らし合わせながら、複数製品を比較し、自社の運用に無理なく適用できるかを確認しましょう。
たとえば、「シフト制に対応できるか」「打刻方法が多様か」「給与システムと連携できるか」といった自社の業務要件と照らし合わせながら、必要な機能が網羅されているかを確認しましょう。
導入費用や月額コストとあわせて、得られる効果や運用のしやすさを総合的に判断することで、長期的に活用できるシステムを選べます。
3.初期設定とテスト運用
自社に導入するクラウド型勤怠管理システムの選定後、円滑に運用するためには、初期設定とテスト運用が非常に重要です。
まず、導入前には自社の勤務ルールや組織構成、雇用形態などの情報を整理し、最新の状態にしておくことが欠かせません。こうした準備を事前に行っておけば、初期設定での登録作業もスムーズに進めやすくなります。
設定完了後は、実際に一部の従業員にシステムを使ってもらう「テスト運用」フェーズに入ります。日々の打刻や休暇申請など、実運用を想定した動作確認を行い、操作性や不具合の有無をチェックしましょう。特に従業員が使いやすいと感じられるかどうかは、定着率にも影響するポイントです。
4.本格稼働
テスト運用で課題が解消されたら、いよいよ全社的にクラウド型勤怠管理システムの本格稼働に移行します。
この段階では、テスト運用での一部の従業員による試用を経て、全従業員が日常業務としてシステムを利用するようになります。操作に不慣れなメンバーが戸惑うケースもあるため、稼働初期は業務の滞りがないよう、勤怠データや申請状況などをこまめに確認することが重要です。
また、トラブル発生時のサポート体制の把握も欠かせません。サポート窓口への連絡手段や、問い合わせ対応のフローを事前に共有しておくと、万が一の際にも迅速に対応できます。
スムーズな立ち上げを実現するためには、本格稼働後も定期的なモニタリングと従業員からのフィードバックを活かした運用改善がポイントです。
5.運用フォロー・サポート
本格稼働後は、現場の従業員がスムーズにシステムを使い続けられるよう、運用フォローを行うことが重要です。
新しい仕組みに対して「面倒だ」と感じる従業員は少なくありません。また、操作に不慣れなことによる打刻ミスや申請漏れなども、運用初期には発生しやすい傾向があります。
こうした課題に対応するためには、問い合わせ窓口の設置やFAQの整備、現場からのフィードバック収集といったサポート体制を整えることが有効です。疑問点をすぐに解消できる環境を用意しておくことで、現場の不安を軽減し、スムーズな運用につながります。
運用初期のつまずきを早期に解消できれば、その後の定着も進みやすくなるでしょう。
6.運用定着・改善
クラウド型勤怠管理システムは、導入して終わりではなく、蓄積されたデータを活用して組織をより良くしていくステップが欠かせません。
導入から1〜3か月後を目安に、現場からの不満や不明点を吸い上げるフォローアップの場を設けましょう。
実際に運用してみて初めて見えてくる課題も多く、設定の微調整や運用ルールの見直しが必要になる場合もあります。
また、データが可視化されれば「特定の部署の残業時間が多い」「有給休暇の取得率に偏りがある」といった課題も明確になるでしょう。こうした気づきをもとに改善策を講じれば、単なる業務効率化にとどまらず、働き方そのものの見直しにもつながります。
勤怠管理システムを「記録のためのツール」から「組織改善の基盤」へと発展させていくことが、長期的な運用定着の成功ポイントです。
Q.クラウド型勤怠管理システムに関するよくある質問(FAQ)
クラウド型勤怠管理システムの導入を検討する際、多くの担当者が疑問に感じるポイントをFAQにまとめました。
それぞれの質問について、わかりやすく回答します。
Q.導入時に失敗しやすいポイントは何ですか?
就業規則をはじめとする「自社の働き方とシステムのミスマッチ」が、失敗しやすいポイントとして挙げられます。
多機能なシステムを選んだとしても、自社の複雑なシフトパターンや特殊な手当計算に対応できなければ、結局Excelでの補足作業が残るケースもあります。
その結果、二重管理が発生し、導入前よりも業務負担が増えてしまうケースがあるでしょう。
こうした失敗を防ぐには、導入前に自社の就業規則や勤務パターンを棚卸しし、対応可否をシステム提供会社に具体的に確認しておくことが大切です。
無料トライアルやデモ環境が用意されている場合は、実際の運用を想定したテストを行うとミスマッチの回避に役立ちます。
Q.無料と有料の勤怠管理システムの違いは何ですか?
無料と有料の勤怠管理システムでは、主に「機能の制限」と「法改正への自動対応」、そして「サポート体制」に大きな差があります。
無料のシステムは基本的な打刻や集計機能を備えているものの、法改正時のアップデート対応が遅れたり、そもそも提供されなかったりする場合があるでしょう。
また、問い合わせ窓口が限定的で、導入時や運用中のサポートが手薄になる傾向も見られます。
一方、有料のシステムでは法改正への迅速なアップデートに加え、専任担当者によるサポートや電話対応など、サポートが充実していることが一般的です。
利用人数の上限や機能制限がない点も、企業規模の拡大に対応しやすいメリットといえます。
勤怠管理は法令遵守に直結する業務のため、長期的な運用の安定性を重視するなら、有料システムの導入を検討する価値は十分にあるでしょう。
Q.クラウド型勤怠管理システムはどのくらいの費用がかかりますか?
よくある料金体系として、1名あたり月額300円〜500円程度が目安です。初期費用(数万円〜数十万円前後)に加え、利用人数に応じた月額料金を支払う「従量課金制」が多く採用されています。
一見するとコストがかかるように感じるかもしれませんが、手作業による集計工数や、給与計算ミスによる再計算の人件費を考慮すれば、費用以上のコスト削減効果が期待できるでしょう。
具体的な費用はシステム提供会社や契約プランによって異なるため、複数社から見積もりを取って、自社の規模や必要な機能と照らし合わせて比較検討することをおすすめします。
クラウド型勤怠管理システムで人事労務業務を効率化しよう
勤怠管理システムを導入すれば、勤怠管理における人事労務担当者の負担を軽減するだけでなく、会社全体の業務効率化が期待できます。
さらに、クラウド型であれば手軽に導入でき、運用やコスト面でのメリットも大きいといえるでしょう。
株式会社ラクスが提供しているクラウド型勤怠管理システム「楽楽勤怠」は、豊富な機能で企業ごとの働き方に合わせて柔軟な運用が可能です。
また、運用開始に向けて専任担当による導入サポートを提供しており、導入準備から本格運用まで、手厚いサポートのもと安心してご利用いただけます。
まずはどんなシステムなのか見てみたい、どのような機能があるのか知りたいなど、問い合わせだけでも歓迎です。ぜひお気軽にご相談ください。
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- 勤怠情報をシステムで一元管理し、給与計算に必要なデータを自動集計します。
- 人事労務担当者
- システムからデータ出力して給与システムに連携するだけで簡単に給与計算を行うことができます。
出退勤や残業、休暇取得などの勤怠情報を一元管理し、給与計算に必要なデータを1クリックで出力します。
インターネットに接続可能なパソコンやスマートフォンがあれば外出時や在宅ワーク時にも利用可能です。
あなたの会社の働き方改革に貢献する勤怠管理システムです。
「楽楽勤怠」が
選ばれている理由
豊富な機能群
現状運用にあわせた課題解決や業務効率化を実現します。
初めても乗り換えも安心の、
専任サポート
※2026年3月末現在
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「楽楽クラウド」サービスのご紹介です。
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おかげ様でラクスグループのサービスは、のべ108,000社以上のご契約をいただいています(※2026年3月末現在)。「楽楽勤怠」は、株式会社ラクスの登録商標です。
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「楽楽勤怠 クラウドサービス」は「デジタル化・AI導入補助金2026」の対象ツール(通常枠)です。
補助金を受けるためには、導入契約を締結する前にデジタル化・AI導入補助金事務局(事務局URL:https://it-shien.smrj.go.jp/)に対して交付申請を行う必要がありますので、その点に留意してください。
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