法定内残業とは?法定外残業との違いや割増賃金の必要について詳しく解説
「法定内残業とは?法定外残業とは何が違うの?」と、疑問を抱えていませんか?
一般的に残業といえば「割増賃金がつくもの」とイメージされがちですが、実はその中には法令上の割増義務がない「法定内残業」という時間が存在します。
この両者の違いを曖昧なまま勤怠管理を行っていると、正確な給与計算ができないだけでなく、労働基準監督署による是正指導といった法的リスクを招く恐れもあるため注意が必要です。
この記事では、法定内残業の定義から法定外残業との決定的な違い、実務で迷わないための計算方法までをわかりやすく解説します。
以下の記事では、割増賃金(残業代)の計算方法について詳しく解説しています。ぜひ併せてご覧ください。
関連記事:残業代の正しい計算方法とは?残業の基礎知識からわかりやすく解説
この記事のポイント(要約)
POINT- 法定内残業とは何か?
- 所定労働時間を超え、法定労働時間(1日8時間・週40時間)以内に収まる労働。
- 法定内残業に割増賃金は必要?
- 法的な割増義務はなく、残業代は通常の賃金単価で支払う。
- 法定内残業の管理におけるトラブル防止策は?
- 勤怠システムでの適切な労働時間管理。自動判定とアラートで管理ミスを防ぐ。
この記事の目次
法定内残業とは?法定外残業との違いや法律面での扱いを解説
残業には、大きく分けて以下の2種類があります。
- 法定内残業:割増賃金が原則不要
- 法定外残業:労働基準法にもとづき割増賃金の支払い義務あり
両者の境界は、法定労働時間である「1日8時間、週40時間」を超えるかどうかにあります。
割増賃金の有無という大きな違いがありますが、実務では混同しやすいため、まずはそれぞれの定義と判断基準を確認しましょう。
本項では、法定内・法定外残業の違いに加え、36協定との関係についても詳しく解説します。
(※)参考:厚生労働省「時間外労働の上限規制 わかりやすい解説」
法定内残業とは
法定内残業(法内残業/法定時間内残業、以下「法定内残業」)とは、企業が定める所定労働時間を超えて働いた時間のうち、労働基準法が定める法定労働時間(1日8時間・週40時間)の範囲内に収まる労働を指します。
たとえば、所定労働時間が1日7時間の企業で、ある日に8時間勤務したケースを考えてみましょう。この場合、所定労働時間を1時間超えますが、1日8時間の法定労働時間を超えていないため、この1時間は法定内残業として扱われます。
なお、法定内残業に対して割増賃金を支払う法的義務はありませんが、就業規則などで「所定外労働には一律で25%の割増を支払う」といった独自の規定を設けている企業も存在します。
所定労働時間と法定労働時間の違いは、後述の解説をご参照ください。
(※)参考:労働基準法第32条
法定労働時間
法定労働時間は、労働基準法で定められた「労働時間の上限」を指します。 労働基準法第32条では、原則として以下のように規定されています。
- 週の制限:休憩時間を除き、1週間について40時間を超えて労働させてはならない
- 日の制限:1日の各日について、休憩時間を除き8時間を超えて労働させてはならない
この「1日8時間・週40時間」の枠内で行われる労働については、法的な割増賃金の支払い義務は発生せず、賃金単価などのルールは各企業の就業規則などにゆだねられます。
(※)参考:労働基準法第32条
所定労働時間
所定労働時間は、会社が就業規則や労働契約書などで独自に定める「従業員が働くべき時間」のことです。
始業から終業までの時間から、休憩時間を差し引いて計算します。
所定労働時間は、原則として法定労働時間(1日8時間・週40時間)の範囲内で設定しなければなりません。
ここで注意が必要なのは、所定労働時間を超えて働いた場合の扱いです。所定労働時間を超えた分は「残業」となりますが、割増賃金(25%アップなど)の支払い義務が生じるのは、あくまで「法定労働時間」を超えた場合のみです。
法定外残業(時間外労働)との違い
法定内残業と法定外残業の違いは、法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超えるかどうかにあります。
法定外残業(労働基準法上の時間外労働)の要件を整理すると、以下の通りです。
| 概要 | 詳細 |
|---|---|
| 定義 | 法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えた労働 |
| 割増率 | 月60時間まで:25%以上/月60時間を超えた場合:50%以上 |
| 上限時間 | 原則:月45時間、年360時間(※) |
(※)特別条項付き36協定を締結すれば、臨時的に上限を超えた残業が可能ですが、健康確保措置などの細則があります。詳しくは次項で解説します。
ここで注意したいのは、労働基準法上の「時間外労働」という言葉には、法定内残業は含まれないという点です。
しかし実務上は、これらを一括りに「残業」と呼ぶことが多いため、給与計算時に「どこまでが割増対象か」の判断ミスが起こりやすくなっています。
トラブルを防ぐためにも、就業規則で「所定外」と「法定外」の区分を明確にし、社内の用語定義を統一することをおすすめします。
法定内残業と36協定の関係
法定内残業は、36協定の計算対象には含まれません。
なぜなら36協定とは、法定労働時間を超えて労働させる場合に締結・届け出が必要となる労使協定(企業などの使用者と、労働者・またはその代表が労働条件を取り決めるために結ぶ協定)だからです。
したがって、法定外残業(1日8時間・週40時間を超える労働)が発生する可能性がある職場では、必ず事前に36協定を締結し、所轄の労働基準監督署へ届出を行わなければなりません。
また、36協定の原則的な上限(月45時間、年360時間)をどうしても超えてしまうような「臨時的かつ特別な事情」が予想される場合は、「特別条項付き36協定」を締結します。
<特別条項の締結が必要なケース例>
- 決算事務・予算編成: 経理部門などで年度末に業務が集中する場合
- 大規模なシステム移行・トラブル対応: 突発的な不具合への対応が必要な場合
- 季節的な需要の急増: 年末年始の商戦期や繁忙期がある場合
- 急な仕様変更や大型受注: 納期が逼迫し、通常の労働では対応できない場合
なお、特別条項を適用する場合でも、以下の遵守すべき上限(法定上限)が定められています。
<特別条項適用時の上限(遵守必須)>
- 年間720時間以内
- 複数月(2〜6か月)平均80時間以内(休日労働を含む)
- 単月100時間未満(休日労働を含む)
- 月45時間の原則上限を超過できるのは年6回(6か月)まで
これら「36協定の上限時間」を計算する際にも、法定内残業の時間は合算不要であるという点は、実務上の大きなポイントです。
ただし、長時間労働による健康障害防止の観点からは、法定内・外を問わず総労働時間を適切に把握することが求められます。
(※)参考:厚生労働省「36協定で定める時間外労働及び休日労働について留意すべき事項に関する指針」
法定内残業の扱いは働き方ごとでどう変わる?
働き方によって「どこまでが法定内か」の境界線は異なります。ここでは、各制度における定義を整理しました。
| 働き方 | 法定内残業の定義・考え方 |
|---|---|
| 変形労働時間制 | 所定労働時間を超えているが、変形期間の評価で法定労働時間を超えていない範囲で行う労働 |
| フレックスタイム制 | 清算期間(最大3か月)の総労働時間が所定労働時間を超えるが、法定労働時間の総枠内に収まっている範囲で行う労働 |
| 裁量労働制 | あらかじめ定めた「みなし労働時間」を労働したものと扱うため、通常の残業の考え方は原則適用しない |
| アルバイト・パート | 基本的に正社員と同様で、企業の所定労働時間を超えるが、法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えない範囲で行う労働 |
それぞれの働き方における法定内残業の扱いについて、詳しく解説していきます。
変形労働時間制の場合
変形労働時間制は、繁忙期の労働時間を長くする代わりに、閑散期の労働時間を短くするなどして、期間全体で平均して週40時間以内(法定労働時間内)に収める制度です。
この制度下で「法定内残業」が発生するのは、あらかじめ設定した勤務シフト(所定労働時間)が、1日8時間または週40時間の枠よりも短く設定されている日です。
たとえば、ある日のシフトが「7時間」と設定されていた場合に、8時間まで働いたとしましょう。
- 超過した1時間:所定時間を超えているが、1日8時間の法定枠内であるため「法定内残業」となる
- 8時間を超えた分:その時点で「法定外残業」となり、割増賃金が発生する
このように、変形労働時間制であっても「所定労働時間」と「法定労働時間」の差分は法定内残業として扱われます。
割増賃金の支払い義務はありませんが、企業は「所定外労働」として正しく記録し、法定外残業と区別して管理する必要があります。
(※1)参考:厚生労働省「1か月単位の変形労働時間制度」
(※2)参考:厚生労働省「1年単位の変形労働時間制度」
フレックスタイム制の場合
フレックスタイム制は、清算期間(労働者が働くべき時間を定める最長3か月以内の期間)内の総所定労働時間をあらかじめ決めておき、その範囲内で従業員が日々の始業・終業時刻を自主的に決定できる制度です。
最大の特徴は、残業の判定を1日単位ではなく「清算期間の合計労働時間」で行う点にあります。
清算期間の総枠において、「企業の所定労働時間」は超えているものの「法定労働時間の総枠」には収まっている時間が、フレックスタイム制における法定内残業に該当します
たとえば以下のようなケースを想定してみましょう。
- 清算期間:1か月
- 清算期間の総枠における所定労働時間:160時間
- 清算期間の総枠における法定労働時間:171.4時間(30日換算)
- 清算期間の総枠における実際の労働時間:165時間
この場合、所定の160時間を5時間超過していますが、法定枠の171.4時間以内であるため、超過した5時間は「法定内残業」となり、割増賃金の支払いは不要です。
一方で、労働時間の合計が法定労働時間の総枠を1分でも超えた場合は「法定外残業(時間外労働)」となり、その超過分に対して割増賃金の支払い義務が生じる点に注意が必要です。
(※)参考:厚生労働省「フレックスタイム制とは」
裁量労働制の場合
裁量労働制とは、労働時間の実態に関わらず、労使協定などで定めた時間(みなし労働時間)を労働したものとみなす制度です。
仕事の進め方や時間配分を従業員本人に委ねるため、1日8時間や週40時間を超えたかどうかで「法定内/法定外」を判定する一般的な残業の概念は、原則として適用されません。
ただし、裁量労働制であっても以下の労働については割増賃金の支払い義務が生じます。
- 深夜労働(22:00~翌5:00):深夜割増(25%以上)の支払いが必要
- 法定休日の労働:休日割増(35%以上)の支払いが必要
- みなし労働時間の設定が法定枠を超えている場合:使用者が明示的な指示を出して「みなし時間」を超えて働かせた場合、法定外残業としての支払いが生じる可能性がある
- みなし労働時間の設定が法定労働時間を超えている場合:あらかじめ決めた時間が1日8時間を超えている場合(例:1日9時間と設定)などは、その超過分に対して割増賃金が必要
裁量労働制は「残業代が一切発生しない制度」と誤解されやすいため、上記の例外を漏れなく把握し、適切な給与計算を行うことが重要です。
(※)参考:長野労働局「裁量労働制」
アルバイト・パートの場合
アルバイトやパートであっても、法定内残業の考え方は正社員と変わりません。
法定労働時間(1日8時間・週40時間)の範囲内であれば、たとえ契約上の所定労働時間を超えて働いても、法的には割増賃金の支払い義務はなく、通常の時給での支給となります。
たとえば、1日の所定労働時間が「5時間」のアルバイト従業員が、ある日に 「6時間」 働いたケースを考えてみましょう。
- 超過した1時間:所定時間を超えているが、法定枠(8時間)以内であるため「法定内残業」に該当し、割増賃金は発生しない
- 合計8時間を超えた分:その時点から「法定外残業」となり25%以上の割増賃金の支払いが必要
ただし、企業によっては就業規則などで「所定労働時間を超えた分は一律で割増賃金を支払う」と独自に定めている場合があります。
その場合は、法的な義務の有無にかかわらず、自社の規定に沿って正しく計算しなければなりません。
法定内残業と法定外残業の具体例
同じ労働時間であっても、企業が定める所定労働時間によって「法定内」と「法定外」の境界線は変わります。
以下の表は、1時間の休憩を含む勤務における残業発生パターンの具体例です。
| 所定労働時間 | 勤務時間 | 実労働時間 | 法定内残業 | 法定外残業 |
|---|---|---|---|---|
| 6時間 | 9:00~18:00 | 8時間 | 2時間 | なし |
| 9:00~20:00 | 10時間 | 2時間 | 2時間 | |
| 8時間 | 9:00~18:00 | 8時間 | なし | なし |
| 9:00~20:00 | 10時間 | なし | 2時間 |
正確な賃金計算を行うためには、自社の所定労働時間を起点として、どこまでが法定内(割増不要)で、どこからが法定外(割増必要)になるのかを正しく認識しておくことが重要です。
法定内残業と法定外残業の割増率
法定内残業に対する割増賃金の支払い義務は法律で定められていないため、基本的には不要です。
ただし、企業独自に「所定時間を超えたら割増を支払う」と定めている場合は、就業規則に沿って対応しなければなりません。
一方で法定外残業(時間外労働)については、労働基準法において原則 25%以上 の割増率を適用することが義務付けられています。
状況に応じて適用される割増率は、以下の通りです。
| 労働の種別 | 割増率 |
|---|---|
| 法定外残業(1か月60時間まで) | 25%以上 |
| 法定外残業(1か月60時間超) | 50%以上 |
| 法定休日における労働 | 35%以上 |
| 深夜労働(22時~翌5時) | 25%以上 |
(※)参考:東京労働局「しっかりマスター 割増賃金編」
法定外残業が1か月60時間を超えたときの割増率
法定外残業(時間外労働)が1か月で60時間を超えた場合、その超過分に対しては50%以上 の割増率を適用しなければなりません。
こうした割増賃金の引き上げは、2019年4月の働き方改革関連法施行に伴い義務化されました。長時間労働を抑制し、労働者の健康保持やワークライフバランスを向上させることを目的としています。
当初は大企業のみの適用でしたが、2023年4月からは中小企業も含めたすべての企業に義務付けられています。(※)
割増賃金の計算は、以下の例のように「60時間」を境にして2段階で行います。
<例:1か月の法定外残業が「70時間」の場合>
- 60時間まで:割増率 25%以上
- 60時間を超えた10時間分:割増率 50%以上
このように、残業時間の合計によって適用される単価が変化する点に注意が必要です。
(※)参考:厚生労働省「月60時間を超える法定時間外労働に対して、使用者は50%以上の率で計算した割増賃金を支払わなければなりません」
法定休日の労働に対する割増率
法定休日に行う労働については、通常の賃金に対して35%以上の割増率を適用した賃金を支払わなければなりません。
法定休日とは、労働基準法第35条で定められた「毎週少なくとも1回」または「4週間を通じて4日以上」与えられる休日のことです。
この日に行う労働は、法定外残業(時間外労働)とは別区分の「休日労働」として扱われ、一律で35%以上の割増率が適用されます。
たとえば日曜日を法定休日と定めている場合、日曜日に8時間勤務した際の賃金は、通常の1.35倍以上となります。
ここで混同しやすいのが、企業が独自に設定する「所定休日(土曜日や祝日など)」との違いです。
所定休日の労働自体には、法的な割増義務はありません。ただし、所定休日に働いたことで「週の法定労働時間(40時間)」を超えた場合は、その超過分が法定外残業となり、25%以上の割増率が適用される点に注意しましょう。
(※)参考:厚生労働省「労働時間・休日」
深夜労働に対する割増率
深夜労働とは、労働基準法第37条で定められた「22時~翌5時」の深夜時間帯に行う労働を指し、通常の賃金に対して 25%以上の割増率が適用されます。(※)
深夜労働の割増が発生する具体的なケースは、以下の通りです。
- シフト勤務で22時以降も働く夜勤
- 日勤の残業が長引き、22時を過ぎた場合
- 早朝勤務で午前5時より前に出社して業務を開始する場合
また、深夜労働がほかの残業と重なった場合には、それぞれの割増率が合算されます。
- 法定外残業 + 深夜労働:25% + 25% = 50%以上
- 法定休日労働 + 深夜労働:35% + 25% = 60%以上
実務上、深夜労働の割増は「法定内残業」であっても発生する点に注意が必要です。
例えば、所定労働時間が短く法定内残業として扱われる時間であっても、それが深夜時間帯にかかる場合は25%の深夜割増を支払わなければなりません。
(※)参考:労働基準法 第37条
法定内残業と法定外残業の賃金はどのように計算する?
法定内・法定外残業の賃金計算において、実務担当者が最も注意すべき点は「割増賃金が発生するかどうか」です。
法的な支給義務という観点では、法定内残業に割増分を加算する必要はありません。一方、法定外残業には通常の賃金に 25%以上(または50%以上)の割増率を乗じた金額の支払い義務が生じます。
ただし、就業規則で「所定外労働には一律で割増賃金を支払う」といった独自ルールを定めている場合は、法令よりも自社の規定が優先されるため注意しましょう。
ここからは、それぞれの具体的な計算手順について詳しく解説します。
法定内残業の賃金計算方法
法定内残業に対する賃金は、基本的に割増賃金を支払う義務がないため、通常の労働時間と同じ単価で計算します。
具体的な計算式は、以下の通りです。
- 法定内残業代 = 1時間あたりの賃金 × 法定内残業時間
「1時間あたりの賃金」の求め方は、給与体系によって異なります。
- 時給制:契約で定められた時給額
- 月給制:月給(基本給+諸手当)を「1か月の平均所定労働時間」で割った金額
<計算例>
所定労働時間が月170時間、月給25万円の従業員が、月に10時間の法定内残業を行ったケース
- 1時間あたりの賃金:250,000円 ÷ 170時間 = 1,471円
- 法定内残業の賃金:1,471円 × 10時間 = 14,710円
※端数処理のルール(切り捨て、四捨五入など)は、各企業の就業規則にもとづきます。
なお、法律上の義務はなくとも、就業規則で「法定内残業にも25%の割増を適用する」と独自に定めている場合は、その規定が優先されます。
計算前に、必ず自社の就業規則を確認しましょう。
法定外残業の賃金計算方法
法定外残業の賃金には、労働基準法にもとづき、通常の賃金に割増分を加算しなければなりません。
適用される割増率は、1か月間の合計残業時間によって以下の通り変化します。
- 月60時間まで:25%以上
- 月60時間を超えた分:50%以上
基本となる計算式は以下の通りです。
- 法定外残業代 = 1時間あたりの賃金 × 割増率 × 法定外残業時間
月給制の場合、単価(1時間あたりの賃金)を算出する際の「月給」から、以下の手当は除外することが認められています。(※)
逆に言えば、これら以外の手当(役職手当や資格手当など)はすべて単価計算に含める必要があるため注意が必要です。
- 家族手当
- 通勤手当
- 子女教育手当
- 住宅手当
- 臨時に払われた賃金
<計算例>
1時間あたりの賃金が 2,000円 の従業員が、月に 70時間 の法定外残業を行った場合
- 法定外残業60時間までの割増分(割増率25%):2,000円 × 1.25 × 60 = 150,000円
- 法定外残業60時間を超過した70時間までの10時間分(割増率50%):2,000円 × 1.5 × 10 = 30,000円
- 割増賃金の合計:150,000 + 30,000円 = 180,000円
法定外残業の割増賃金を算出する際は、残業時間に応じた割増率の適用を徹底しましょう。
(※)参考:厚生労働省「割増賃金の基礎となる賃金とは?」
法定内残業と法定外残業に関するトラブルとその対策
法定内・法定外残業の概念を正しく理解できていないと、残業代の計算ミスに留まらず、人事労務管理全体における大きなトラブルを招く恐れがあります。
本項では、こうしたトラブルを未然に防ぐため、実務でよくある誤解や是正事例と、その具体的な対策について詳しく解説します。
法定内残業のよくある誤解と是正ケース
所定労働時間外に行われた労働に対して、意図せぬ未払いや過剰支給が発生するケースは少なくありません。
こうしたトラブルの多くは労働時間区分の認識不足が原因であり、労働基準監督署による是正勧告の対象となるリスクを孕んでいます。
特に実務上、注意が必要なのが、「始業前の清掃」や「準備行為」の扱いです。
労働基準監督署の立入検査(臨検)において、是正指摘を受けやすい典型的な事例に、以下のようなケースがあります。
| ケース | 事例 | リスク |
|---|---|---|
| 労働実態と記録の乖離 | 企業が義務付ける清掃等を労働時間とせず、作業後に打刻させる | 意図的な労働時間の隠蔽とみなされ、企業の社会的信用を損なう |
| 無自覚な法定外残業の発生 | 数分の作業の積み重ねにより、実労働が1日8時間を超える | 単なる不足分支払いに留まらず、割増賃金の支払い義務違反へ発展する |
実際に是正指導が行われた場合、企業は以下のような重い対応を迫られることになります。
- 全従業員の実態調査
- 差額賃金の遡及支払い
- 管理体制の抜本的見直し
「これくらいなら残業にはならないだろう」という思い込みが、企業の信頼を大きく損なう結果に繋がりかねません。
法定内・法定外の定義を正しく理解し、適正な労働時間を把握する姿勢が大切です。
(※1)参考:厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」
(※2)参考:厚生労働省「労働基準監督業務について」(4ページ目参考)
(※3)参考:労働基準法 第115条(賃金の請求権)
残業に関するトラブルを防ぐための対策
残業トラブルを未然に防ぐには、ルールの整備・正しい運用・可視化をセットで進めることが不可欠です。
以下の5つのポイントを軸に、社内体制をアップデートしましょう。
- 残業に関する規定を定期点検するルールの整備
- 管理職・現場責任者への研修強化
- 従業員への周知・コミュニケーション
- 労働時間の可視化(記録の正確性)
- モニタリングと改善
これらの対策を効果的に機能させるには、まず専門家による就業規則の点検と、管理職の意識改革を並行して進めることが肝要です。法改正への適応はもちろん、現場で「隠れ残業」を発生させないマネジメントの徹底が求められます。
あわせて、客観的な記録にもとづく「労働時間の可視化」も重要な要素です。
勤怠管理システムなどを活用し、リアルタイムで状況をモニタリングできる環境を整えることで、過重労働や未払いの兆候を早期に察知し、トラブル化する前の迅速な改善が可能になります。
残業管理と残業代計算における勤怠システム導入のメリット
勤怠管理システムを活用することで、法定内・法定外の区分が複雑な残業代計算の正確性が高まります。
また、単なる残業代計算の自動化に留まらず、労働時間や残業状況をリアルタイムに可視化できる点は、人事労務管理において大きなメリットです。
手集計によるミスや漏れを物理的に排除できれば、担当者の工数削減はもちろん、未払いリスクの払拭といった法令順守の徹底にも大きく寄与します。
ここからは、勤怠管理システムの具体的な導入メリットを整理して確認していきましょう。
労働時間の正確な記録とリアルタイム把握でアラート表示などの対策ができる
勤怠管理システムの活用により、打刻漏れや不正を未然に防ぎ、正確な労働時間の記録とリアルタイムでの状況把握が実現します。これにより、残業代の計算ミスや意図しない法令違反のリスクを最小限に抑えることが可能です。
紙やExcelによる管理では、締め日を過ぎるまで労働時間の合計が見えず、入力ミスも発生しやすいという課題がありました。一方、システムなら出退勤データが自動集計されるため、誰がどのくらい働いているかを即座に確認できます。
特に、労働時間の法定上限(週40時間)に迫っている従業員へのアラート(自動警告)機能は、管理者の見落としを防ぐ上で大いに役立ちます。
その理由は、労働時間の上限を超過する前に勤務時間の調整を促すといった「先回りした是正措置」が可能になるためです。
労働時間の正確な記録とリアルタイムの可視化は、従業員の健康管理だけでなく、労働基準監督署への対応も含めた高度なリスクマネジメントへと繋がります。
割増賃金計算を自動化し給与計算を効率化できる
勤怠管理システムの活用は、割増賃金の算出から給与計算までのワークフローを大幅に効率化します。
紙やExcelによる手動管理では、以下のような「複雑な判定」を担当者が目視や手入力で行う必要があり、計算ミスや未払いリスクが常につきまといます。
- 所定内・法定外の切り分け
- 深夜・休日労働の重複計算
- 月60時間超えの判定
勤怠管理システムであれば、こうした複雑なロジックも打刻データにもとづき自動適用が可能です。また、給与計算ソフトと連携させることで、集計から反映までをシームレスに完結させることができます。
単純な事務作業の負担を減らすだけでなく、ヒューマンエラーを物理的に排除できる点は、人事労務管理における大きなメリットといえるでしょう。
法令遵守を徹底し労働基準監督署の監査にも備えられる
勤怠管理システムの活用は、36協定にもとづく適切な労働時間管理を実現し、労働基準監督署による調査(臨検)や是正勧告への強力な対策となります。
具体的には、出退勤記録や残業申請の履歴を一元管理できるだけでなく、上限値に近づいた際のアラート機能により、管理職が手遅れになる前に業務調整や指導を行うことが容易になります。
また、労働基準監督署から残業実績などの提示を求められた際も、システムから改ざんのない正確なログを即座に抽出できる点は大きな強みです。客観的な記録はコンプライアンスの正当な裏付けとなり、企業の信頼性向上に直結します。
こうした仕組みを整えることで、複雑化する法規制に柔軟に対応しつつ、万全の監査対応が可能な体制を構築できるでしょう。
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インターネットに接続可能なパソコンやスマートフォンがあれば外出時や在宅ワーク時にも利用可能です。
あなたの会社の働き方改革に貢献する勤怠管理システムです。
「楽楽勤怠」が
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補助金を受けるためには、導入契約を締結する前にデジタル化・AI導入補助金事務局(事務局URL:https://it-shien.smrj.go.jp/)に対して交付申請を行う必要がありますので、その点に留意してください。
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